2026/1/14
【未だ世を渝(か)へずして、民は移す可(べ)し】
昨日(1/13)、その2日前に実施された「Vもぎ」の見直しを生徒と一緒にしていた時のこと。
「理科」の設問の中に、次のような問題がありました。
「…カエルが幼生から成体になるときに体のつくりが変わることを、変態という。進化も生物の体のつくりが変化することであるが、変態と進化は異なる。進化とはどのような変化であるか。年月の経過に着目して、『世代』という語句を用いて簡単に書け。」
*解答例として、
「世代を重ねた長い年月の間に起こる変化」
が挙げられています。
**そのとき、次の問題である体積と密度に関する設問を眺めながら、
『おもさを
たいせきでわるんだなあ
みつど』
という鉄板のおやじギャグを私が連想していたのは秘密です…
閑話休題
この「世代」という言葉について、「英語では‘generation’といって約30年を指すんだよ」などとちょっと偉そうに薀蓄を傾けてしまいました。(教場にある英和辞典の中の一冊で‘generation’を引いて、そこに「約30年」と記してあるのを見せたりもしました)
すると、
「だったら、『X世代』とか『Z世代』とか…『氷河期世代』とかみんな30年間なんですか?」
と質問が出て、「たしかにそのような疑問を持つのは自然だな…」と。
帰宅し、改めて『広辞苑』で調べると
冒頭に
「(もとセイダイ)(generation)」
と掲げられているように翻訳語であったことがわかり、また①として、「生物が母体を離れてから成熟して生殖機能を終るまでをいう。」
とあるように、生物学の分野で使われてきた言葉ということが推測されます。
そこから派生する意味として
②❲イ❳ ほぼ30年間を一くぎり【ママ】とした年齢層。
とありますが
❲ハ❳生年・成長時期などの近い者同士をまとめるようにした年代の区切り。考え方・生活様式などの面で同世代には共通し、他とは異なるものを示す。
ともあり、現在では後者としての用法が圧倒的、ということに思い至りました。
ところで、現在、昨年10月に出版された 善教将大『民度−分極化時代の日本の民主主義』(中公新書、2025年)という本を読んでおりますが、「世界的になぜ選挙における投票率が低下してきたのか」という問題提起がなされ、それに対して最近の研究成果が紹介されていました。
「…その主要因は、新しい価値観を持った有権者への世代交代とされている。」
それに続けて
「個々人が有する価値観が、短期的に大きく変わることは稀である。……個人が持つ価値観は安定的であるため、社会全体の価値観の分布の変化は、個人のなかの意識が変わることによって生じるのではなく、古い価値観を持つ世代が社会から退出し、それに代わる新たな価値観を持つ世代が社会に入場するという、世代交代のメカニズムによって生じる。」(同書127-8頁)
まあ、それと対置できると思われるのが冒頭に掲げております『墨子』の中にある言葉です。(山田琢『新釈漢文大系第50巻 墨子(上)』明治書院、昭和50年、208-210頁。)
*ちなみに「語釈」に、「未渝於世」について
「渝は変わる。世は三十年をいう。一世を経過しないうちにということ。」
との説明があります。
もっもと、『墨子』のそこの文脈は、「上に立つリーダーの意向により世の中は変わる」という趣旨なのですが…